小鷹研究室

「からだの錯覚」を通して、不安の向こう側へ。

小鷹研理(准教授)

小鷹研究室は, 来たるべき新しい時代のメディア空間を縦横無尽に闊歩するであろう, 新しい<からだ>(body image)のかたちを模索しています. この刺激的な挑戦のなかで求められるのは, 何億年という時空を経て適応的に形成されてきたであろう<からだ>の成り立ちに対する回顧的な視線です. 僕たちが手に入れることができる新しい<からだ>は, (少し逆説的な言い方になるけれど)「既にそこにあるもの」の中からしか育たないからです. 

これらの問題系を考えるにあたって, 「からだの錯覚」を実際に体験してみること, さらには, 新しい「からだの錯覚」を考案することは, 極めて良質なトレーニングの場を提供します. 小鷹研究室は, 認知心理学における重要な概念である「身体所有感 = body ownership」に対する理解を軸にして, 種々の心理実験から所有感を変調させるための必要条件を吟味するとともに, 昨今, 目まぐるしく刷新を繰り返しているバーチャル・リアリティー技術を積極的に導入し, 「具体的に体験可能なインタラクション装置」のなかで設計された(一見すると異質な)<からだ>のリアリティーを, 様々な尺度で検証しています.

小鷹研理(准教授)

過去8年間(2013-2020)に研究室に入ってきた33人の学生を見てみると、以下のような傾向があるようです。

+ 男16女17の(理想的な?)男女共同参画社会
+ ここ5年連続で演劇サークル所属(学部内では超レア)の学生が一人は配属という謎の快挙
+ ここ3年連続で隠れアニオタがまぎれている

「からだの錯覚」にもとから関心があるという学生はまずいませんが、現実と虚構に関わるSF的・演劇的な想像力に慣れ親しんでいる学生にとっては、「からだの錯覚」の世界観は意外とフィットするのかもしれません(といいながら、僕自身は、SFやら演劇的な素養はまるっきしダメですが)。


以下で、小鷹研究室の関心と近い入門的な書籍を古い年代のものから挙げておきます。僕の研究室に関心があってもなくても、一人の人間としてこの深遠なる世界と対峙していくなかで、ぜひとも一度は触れておきたい、ぐさりと刺さる教養です(*はその中でも小鷹研的に必読です)。

1996 サブリミナル・マインド(下條信輔) LINK
1999 脳の中の幽霊*(V.S.ラマチャンドラン) LINK
2008 サブリミナル・インパクト(下條信輔) LINK
2010 単純な脳、複雑な「私」(池谷裕二) LINK
2012 意識は傍観者である*(デイビッド・イーグルマン) LINK
2013 脳の中の天使(ラマチャンドラン) LINK
2014 意識をめぐる冒険(クリストフ・コッホ) LINK
2015 意識と脳(スタニスラス・ドゥアンヌ) LINK
2015 エゴ・トンネル*(トーマス・メッツィンガー) LINK
2016 脳はいかに治癒をもたらすか(ノーマン・ドイジ) LINK
2018 私はすでに死んでいる*(アニル・アナンサスワーミー) LINK


なお、他大学から小鷹研の修士・博士過程への進学を検討する学生は、一度、アポをとって、研究室に訪問に来てください。

kenrikodakaあっとgmail.com