受賞の言葉(2025年度・学科賞)|服部寿香

服部寿香(Kotoka Hattori)

この度は学科賞に選出していただき、誠にありがとうございます。

本制作研究では、言語化の限界への問題意識から、非言語を用いて日々の感情をどのように記録し、蓄積することができるのかという「感情の非言語的アーカイブ方法」を模索しました。編み物という反復的な手作業に着目し、その日の気分で3色の糸を選んで編む制作を行いました。また、その過程を映像と日記によって記録しています。

展示では、編み物そのもの、制作過程の映像、日記の三つの要素を、それぞれ異なる空間で構成しました。出力方法は異なりますが扱う内容は同質であり、それぞれを独立した部屋に配置することで、それぞれの特性が際立つ構成としています。

研究・制作を進めるにあたり、ご指導いただいた小俣先生、研究室の皆様、そして作品をご覧くださった多くの方々に心より感謝申し上げます。

小俣英彦

日常の中にあるささやかな行為を、持続的に見つめ、形にし続けた点にまず敬意を表したいと思います。編むという反復的な行為を通して感情の揺らぎをすくい上げ、それを非言語的な記録として積み重ねていく試みは、地道でありながらも強い意志を必要とするものだったはずです。

本制作研究では、編み物による非言語的な蓄積に加え、日記による言語的記録、そして映像による時間の記録が併置されています。それぞれ異なる形式で同じ時間を扱うことで、言語化される感情と、言語からこぼれ落ちる感覚との差異が浮かび上がり、結果として編み物という行為の特異性と強度がより際立つ構成も的確で鮮やかでした。

一年間という時間の中で、そのプロセスに誠実に向き合い続けたこと自体が、本作の大きな価値であり、成果と言えるかもしれません。結果として立ち現れた作品「地層」は、静かでありながら確かな密度を持ち、見る者に時間と感覚の層を丁寧に示していました。

本受賞は、そうした積み重ねが評価されたものであり、その力はすべて本人の努力によるものです。今後の展開を楽しみにしています。受賞おめでとう。




>> 関連映像 [YOUTUBE]|令和7年度名古屋市立大学芸術工学部情報環境デザイン学科卒業制作研究 服部寿香


服部寿香|編み物を用いた感情の非言語的アーカイブについての考察と制作ノート / 地層

imd学科賞 2025年度