受賞の言葉(2024年度・学科賞)|山口真央
山口真央(Mao Yamaguchi)
この度は、学科賞に選定していただき、誠にありがとうございます。
本研究は、ブッダの耳錯覚を発展させ、VR空間における耳介変形錯覚を新たな形で表現することを目標に行いました。本制作では、現実空間では不可能な錯覚体験の実現に加え、マグネットクリップを利用した体験者自身による体験設計にも挑戦しました。
制作過程では、実装技術の面で苦戦することもありました。しかし、自分の作品を多くの方に体験していただき、驚くような新たな発見があったことは非常に刺激的で、楽しみながら研究に取り組むことができた1年間でした。作品を楽しんでいただき、さらに学科賞という形で評価していただけたことを大変嬉しく思っております。
今回この賞をいただけたのは、研究・制作の方針やアイデアなどさまざまな面でサポートをしてくださり、熱心にご指導くださった小鷹先生、多くの相談に乗ってくださった研究室のメンバー、そして作品を体験してくださった多くの方々のお陰です。心から感謝申し上げます。
小鷹研理
山口さんには、既にある「ブッダの耳錯覚」のHMD体験版をつくるという、かなり明確なミッションが与えられた分、(ブッダの耳錯覚を知っている人にとって)想定外の驚きをいかにしてつくりだせるかどうかが課題になると思っていました。それは、結局、ある程度、原理を知っている作り手である僕たちの想定をもいかに越えていくか、、という構造的に難しい問題をも孕んでいたわけですが、、山口さんは、「耳たぶに重しをぶらさげれば、実験者が介在しなくても(!!)錯覚が持続すること」を発見したことで、その難題を一気に突破しました。あの展示前の夜の研究室で、その驚きを、山口さんと(あと佐藤くんもいたっけ?)共有できたことが、教員にとって何ものにも変えがたい喜びです。
あと、これ、小鷹研史上、HMDでの錯覚強度は一番だと思います(展示で錯覚率90%はすごい!)。そんなわけで、山口さんが卒業した後も、しばらくの間、このデモはいろんな人を驚かせ続けることになるでしょう(去年の伊藤さんのSLIME HAND XRみたいに)。そんなすごい作品が順当に評価されることになって本当によかったし、僕も誇らしいです。まじでおめでとう。大学出た後の活躍を楽しみにしています。