受賞の言葉(2023年度・学科賞)|前野響子
前野響子(Kyoko Maeno)
この度は、学科賞に選出していただきありがとうございました。
本作品は、過去に実際に名古屋市で行われた生態系調査を題材にした、テントウムシの調査を体験できるメタバース上のワールドです。この作品をきっかけに、市民による生態系調査を知っていただき、身の回りの自然を気にかける人が少しでも増えればいいなと思い、制作しました。
昨年度末に桜山キャンパスのホールで開かれた生物多様性イベントで聞いた講演会の話をきっかけに、本作を構想し始めました。そのため、早い段階で方向性は決まっていましたが、私は研究室所属以前は制作においてVRや3DCGにほとんど触れてこなかったためわからない事も多く、実現は様々な面で苦労しました。そのためこの賞をいただけたのは、研究面や技術面の様々な点でご指導·ご協力いただいた中川隆先生や、生態学分野に関した相談に乗ってもらった母と弟、本研究の趣旨を理解し快く協力してくださったなごや生物多様性保全活動協議会やあいち生物多様性サポーターズ事務局、また心の支えとなった親友や研究室の皆さんなど、助け支えてくださった周りの方々のお陰であると思っています。本当にありがとうございました。
中川隆
この度は、情報環境デザイン学科の学科賞を受賞されたこと、心からお祝い申し上げます。
本学科では、2年次の前期から、学生が自身の関心を深めるテーマに沿って、比較的自由に制作に取り組むことができます。前野さんはその初期段階から、生物多様性や地域課題をテーマにしたデザインの構想と実装に熱心に取り組んでこられました。それらの経験を基に、メタバースの新たな可能性を探求し、前野さん独自の視点でユニークな研究を成し遂げたことは、大変素晴らしい成果と言えるでしょう。
前野さんが取り組まれた“名古屋市民を対象とした生態系調査の啓発”、“生物多様性及び地域の自然との共生についての意識向上を目指す場の創出”は、その構想の明晰さと実行の直向きさにより、成功を収めたと思います。メタバースを通じてこのような社会的意義のあるプロジェクトを実現できたこと、僕もとても誇りに思います。
今後も、ご自身のキャリアを築く中で、この研究制作で培った知識や技術、創造力を存分に活かし、世界に新たな価値をもたらすような挑戦を続けていってください。未来の道のりに幸多からんことを、心よりお祈りしています。